インドに出発するまで
2014年11月末に当時の職場を退職して、インドへ行くことにしました。それまで同じ職場で4年間働いていたのですが、契約切れになるタイミングでした。
ひとつはっきりさせておきたいのは、私は、別に日本の生活から逃げたくてインドに行った訳ではなかったということです。
上司がうんこだったけど仕事もまぁまぁうまく行っていたし、多分ゴリ押しすれば契約は延ばせる状況でした。プライベートでも友達もたくさんいて、6年目に突入した大阪での生活も楽しんでいました。
そんなリア充な日々だったんですが、何かもうこれ以上何もつかめないような壁だか天井だかがある感じがしていました。少しずつ磨耗して、ぺらぺらになっている感じもしていました。
とにかく、ちょっと一区切りが必要だな・・・という感じだったんです。
その壁が何なのか、うすうすは分かっていました。
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基本的に、ずっと「働く」のが嫌いだった
基本的に私は「働く」のが嫌いでした。
忙しい仕事も暇な仕事もしましたが、日本のお仕事社会は理不尽なことを感じることが多く、いつも不満はたくさんありました。
とにかく働かないと生きていけないということ自体にうんざりもしていました。
瞑想をしていると、自分の人生の不満とか、変化できることはないかとか、そんなことを見るようになってくるのですが、私の場合、自分の人生に、「働く」ことが大きな岩みたいにどっかりと置かれているのが見えてきていました。
それは自分の外側の問題(どんな仕事をしているのか)ではなくて、自分の内側の問題(仕事に対してどんな風な見方をしているのか)であることにも気づいていました。
とにかく、そろそろ自分の人生で、「働く」ことの意味を変えるような体験が必要だと思いました。
そこで、インドで、ある「働く」ことを見るプログラムに参加することにしたのです。
「OSHO瞑想リゾート」で働く「Creative Living」(瞑想としてのワーク)プログラム
インド・プネーにある「OSHO瞑想リゾート」では、「Creative Living」(瞑想としてのワーク)というプログラムを提供しています。
このプログラムは、リゾートの創設者である悟りを開いた覚者、OSHO(1990年没)のヴィジョンに基づいてデザインされています。OSHOは「働く」ということについて、こんな風に述べていました。
働くことと楽しむことを別々に分けてしまうのは、きわめて西洋的な考え方、キリスト教的な考え方だ。キリスト教では、神は週6日働いて7日目に休んだ。
しかし、私のヴィジョンはこうした過去からの考え方にまったく反するものだ。私はあなたにまったく新しい見方を与え、働くことと休むことが分かれていない、新しい人間をもたらすつもりだ。
私にとってリラックスすることと働くことは正反対のことではない。
働きすぎたら休養や中断が必要で、働くことから離れて、どこか遠く遠くへ行かなければならない、という人々には、私はまったく賛成できない。
私のヴィジョンはあなたが何をしていても全面的に楽しんでいることだ。
私は泳ぐことや新鮮な空気や、湖に反対しているわけではない。私が反対するのは、「分けてしまうこと」、これが仕事、これが楽しみ、と区別してしまうこと、仕事から離れるために、湖に行って、休み、リラックスする必要があるという考え方だ。
働くこととリラックスすることは、相反するものではない。実際、あなたがより深く仕事に没頭していくほど、あなたはリラックスすることができるのだ。だから、両方が重要だ。しっかりと働くほど、深くリラックスできる。
働くことは貴重なことだ。あなたは謙虚になり静かになる。人々は、仕事とは、とても特別なものであり、どんな仕事でも、尊敬に値するものだということを感じるべきだ。
最初にこのヴィジョン、このプログラムを知ったのは、2007年頃だったと思います。
最初の仕事において完全にやられていた当時の私は「あまり働かなくて良い仕事」が良いと思ったり、あるいは「やりがい」とか「好きを仕事に」とか「社会的意義のある」仕事につけば良いのではないかと模索したりしていました。
そんなときに知ったこの考え方は衝撃的でした。
働くほど、リラックスできる?楽しめる?
それからずっとこのプログラムに参加したいと思っていたのです。
「Creative Living」プログラムはどんなもの?
この「Creative Living」プログラムでは、働くことで、リゾートに貢献することが求められますが、労働ビザは発給されないので対価はもらえません。
つまり、ボランティアです。
ただし、この「Creative Living」プログラムに参加すると、敷地内で部屋がもらえて、普通に滞在する場合よりも、入場料および諸経費がかなり節約になります。
また、プログラムの一貫として、いくつかの「働くこと」「瞑想」をテーマにしたワークショップに参加することができます。
プログラムの参加費用は2014年末~2015年2月のシーズンでは、1ヶ月10万円程度でした。
(年々値上がりしているので、詳しくはosho.comで調べてみてください)。
毎日のプログラムは、基本的に「毎日」6時間働いて、残り2時間OSHOの講話を聴く、何もしないでそこにいる瞑想に参加します。毎日、です。参加期間中病気の場合以外、お休みはありません。
講話を聞く瞑想以外にも、敷地内では1日中、OSHOが考案した瞑想を行っていますが、これらに参加するかどうかはあくまでもオプションとなります。
この「Creative Living」プログラムは3ヶ月で終了となり、終了後にリゾートで働いてみたい、という人には「Work As Meditation」というオプションが用意されています。この「Work As Meditation」では、より安い価格でリゾートに働きながら滞在できます。
私のCreative Living 体験:お金ももらわない、休みもない、働く場所も選べない、そのとき人はどうなる?
このCreative Livingの特徴として、
- どこに配属されるかは直前まで知らされない(自分の希望も必ずは通らない)
- 休みがない
- お金がもらえない
ということがあります。
これはOSHOの「働くことと休むことを分けて人生を分割しない」という考えに基づくものですが、世間の常識で言ったら、そんなの非人間的ともいえるし、そんな状況で働くことを本当に楽しめるのか!?って感じもしますよね。。。
働く場所を選べないこと
私はリゾートのウェルカムセンターと呼ばれるレセプションで働き、それから後はまた、週1-2回は「フローティングワーク」といって、レギュラーでやっている人のいない、浮いている仕事をしていました。
夜の瞑想のヘルパーや夜のイベント中のバーカウンターでの仕事などです。
レセプションでは、瞑想リゾートの料金体系やシステムを説明し、コンピュータに個人情報を登録してゲートパスを発行したり更新する作業をしていました。
大卒後ずっと一応ホワイトカラーの端くれとして生きてきたので、インド人相手に受付嬢やったりバーカウンターでカプチーノ作ったりするのってそれいったいどーなん?という感じもしました。
しかし、これが楽しいし、同僚たち(多くの場合それぞれの国での大卒以上、ミドルクラス以上の人たち)も楽しんでいたんですよね。
ホワイトカラーの仕事に入り込んでしまうと、逆にシンプルな仕事に戻ることがなくなってしまっていて、自分にそういう能力や適正があるかどうかすら忘れていました。
なので、仕事や働く場所を選べないということは自分の可能性を広げてくれることに他なりませんでした。
人は、自分自身に対する「私にはこんな能力がある」「こんな経験がある」というジャッジメントによって、可能性を狭めていることがあるんだと思います。
休みがないこと
休みがないことは、やはり、体力的にはきつくて、ときどきへろへろになりました。
なれない国(しかもインド・・・)で生活しているだけで、すごい勢いでくたびれてくるんですよね。大気汚染はひどいし、食事は毎食スパイス入ってるし。
私はあんまり体が強くないので、しんどいことは、しんどかったです。
ですが、へろへろになってたかと思うと、何度かわけもなくスッコーンと抜けていくような瞬間もあり、人間のエネルギーは無尽蔵なんだな…と感じました。
また、毎日が仕事のような、休みのような、そのあたりがバラバラになっていくのも、よくわかり、「平日仕事して土日休んで生きていくんや~」というのはひとつの、現代社会の刷り込みなんだなということも体感できました。
お金がもらえないこと
皆さんそうだと思うんですが、私はいつもお金を貰うために働き、お金ができるだけたくさん入る仕事をしてきました。
でもお金がもらえないとき、そのときに何が起こるかというと、やっぱり対価を受け取るという事が起こっています。たとえば、仕事に慣れてくる手ごたえを感じるとか、人に感謝されるとか、より責任のあるポジションを貰ったりとか。
これらはお金を貰って働いていても受け取っているものですが、実はお金を貰っているがために見えにくくなっているのだと思います。
私は、この経験を通して、この世界は「自分がエネルギーを注げば、見返りが返ってくる場所」なんだということが理解できるようになったと思います。
そして「働かないとお金がないから働く」という「恐怖」から働く感覚から、「働いて注いだエネルギーの見返りは必ず返ってくる」という「信頼」から働く感覚へのシフトがあったように思います。
働くことは楽しめる
テレ東系列で「はじめてのおつかい」という番組があります。
たのまれごとをして、責任を持って・・・そのとき子供たちは、みんな生き生きしています。たのまれごとや責任は子供にとってはエキサイティングだったのです。
私もかつては子供でした。遠足のおやつ、に500円で買い物してきていいよ!と言われて小さなスーパーで駄菓子を選んだとき、どんなに楽しかったか。
何でもやってみたかったし、何でも任されたらうれしかったものでした。
それがいつのまにか、頼まれることも、責任をもつことも、しんどくなってしまっている。
だけど、もともとは、私たちはそういう、ややこしいことを楽しむ力があるんだと思います。
人生は続き、働くことも続いていきます。。。
Creative Living は実は2ヶ月分だけ参加してきたので、そう遠くない将来に残りの1ヶ月のプログラムを終えにインドに出向きたいところです。
おまけ:イルファンカーンが来た!
私の滞在中、映画「ライフ・オブ・パイ」に主演していた俳優「イルファン・カーン」が来ました。(リゾートの公式発表はこちら)
他にも、ヨーロッパや南米のTVや映画に出ている人たちと遊んだりすることもありましたよ~